こんにちは。
秋も深まり、熊谷もかなり過ごしやすくなりましたね。
ちょっと朝晩は寒いくらいです。
皆さま、体調を崩さないように気をつけてくださいね。
さて、今日はご相談の多い子供の指しゃぶりについてです。
1歳6ヶ月児健診、3歳児健診で質問内容の多いもので『指しゃぶり』『歯並び』は常に上位にあります。
また、健診で歯科の先生に指摘されるほど既に歯並びに影響が出ている子もいらっしゃいます。
指しゃぶりは皆さんご存知の通り、歯並びに影響を与えます。
では、指しゃぶりはどのような歯並びの異常を引き起こすのでしょうか?
まず『開咬』です。開いた咬み合わせと書きますが、その名の通り噛んでも前歯が噛み合わず隙間が開いた状態です。
開咬になると、その隙間に舌を挟まないと息が漏れてしまいます。
なので舌足らず(タングスラスト)な喋り方になってしまうのです。
特に『サ行』や『タ行』の発音が悪く、大人になっても滑舌に悩まされる方もいらっしゃいます。
また、飲み込む時も陰圧にすることが難しく、赤ちゃんのような嚥下の仕方のままになってしまいます。
前歯が噛まないことによって奥歯への負担も大きくなり、奥歯の寿命が短くなると言われています。
次に『上顎前突』です。これは出っ歯のことです。
吸う動作によって唇をぐるっと囲っている口輪筋の収縮が強まり上顎の成長の形まで変えてしまいます。
要は骨の成長まで悪影響を及ぼしてしまうのです。
理想は綺麗なUの字になって欲しい上顎がVの字になってしまいます。
上下の歯のバランスも悪くなります。
これらが指しゃぶりによる歯並びへの影響です。
ちょっと心配にさせてしまいましたね。
しかし、実は指しゃぶりも絶対ダメなわけではありません。
指しゃぶりはそもそも15〜20週の胎児の頃から見られるものなのです。
赤ちゃんはお母さんのお腹の中で、生まれた後におっぱいを吸うための練習をしているのです。
この反射的な哺乳は月齢2、3ヶ月で弱まります。
そして、自律的な吸啜ができるようになります。
遊び飲みとも言われますが、栄養摂取だけが目的なのではなく、お母さんとの絆の強化や不安解消などの意味を持った行動です。
そしてこの延長線上に『指しゃぶり』があると言われています。
なので『指しゃぶり』は癖としてではなく、『安心感や幸福感を得ることのできる行動』とも言えるのです。
そして、離乳に必要な原始反射の消失や感覚受容の広がりにも、指しゃぶりやおもちゃ舐めが関連していると考えられてもいます。
じゃあ、どうすればいいの!?と思いますよね。
基本的に3歳までは様子をみてOKです。
4歳を目安にやめられることができれば、それまでに出てしまった歯並びへの影響は自然に改善することが多いです。
しかし、4歳になっても5歳になってもやめられないお子さん、いらっしゃいますよね。
指しゃぶりだけではなく、いつも爪を噛むなどもそうです。
次回は、そんなやめたいのにやめて欲しいのにやめられない、そんなお子さんへの対応についてお話ししたいと思います。
お楽しみに!
荒岡デンタルクリニック 熊谷
荒岡 千尋