こんにちは。
雨の日が多くなってジメジメしていますね。
今年は梅雨入りが全国的に早まり、夏が暑くなりそうだとか。
熊谷の夏が暑くなりすぎないか今から心配です。
さて、今日は入れ歯についてです。
特に総入れ歯についてお話しします。
当院には入れ歯の患者さんがたくさんいらっしゃいます。
総入れ歯の方もたくさん来院されます。
その方々の多くが『入れ歯が合わない』という理由で受診されます。
そしてそれは昨日今日の話ではなく、何年も、人によっては何十年も悩みながら生活されていた方がいらっしゃいます。
入れ歯は、もちろん食べるために必要です。
ですが、同時に、話すこと、見た目など歯がない方が健康に快適に暮らすために必要不可欠なものです。
では、逆に『合う入れ歯』とはどういうものでしょうか?
それは、痛くない、噛みやすい、外れにくい、話しやすい、見た目がいいを兼ね備えた入れ歯ではないでしょうか。
そんな入れ歯を作るためには、入れ歯を作る工程が(場合によっては作る前の前処置が)大事になるのです。
『合わない入れ歯』をお使いの方はもしかしたらその工程をきちんと行うことで、『合う入れ歯』を手に入れることができるかも知れません。
当院での総入れ歯の作る工程をご紹介します。
1、まずは口の型取りです。
当院では総入れ歯の型取りを2回行なっております。(患者さんの状況や状態によって変化あり)
それは、1度目の型取りで入れ歯を作るのではなく、1度目の型取りでできた模型上で診査し、その患者さんに合ったオーダーメイドの『型取りのトレー』を作るためです。
驚く方がいらっしゃるかも知れませんが、トレーを作るために型を取るのです。
その理由は、オーダーメイドのトレーで型取りすることにより、患者さんによりフィットする入れ歯を作ることができるからです。
総入れ歯の患者さんには骨にしっかり植わった歯がありません。
骨の上の粘膜上にプラスチックである入れ歯を乗せているだけなのです。
なので少しの力で入れ歯が動くのです。
力をかけるのは、筋肉です。口の周りの口輪筋、そして舌は皆さんにも馴染みのある筋肉ではないでしょうか。
他にも口の周りには噛むため、話すため、表情を作るためたくさんの筋肉があります。
その筋肉に調和する入れ歯を入れないとすぐに落ちてしまったり、動きやすい入れ歯になるのです。
そして、筋肉は動くものなのでその動きに対応できる入れ歯でないといけません。
動くことで隙間ができてしまう入れ歯は、吸着せず、やはり外れて落ちたり動きやすい入れ歯になるのです。
そのため、当院ではこの2回目の型取りにしっかり時間をとり、大学病院と同じ方法で型取りを行なっているのです。
2、次は咬み合わせです。
咬み合わせはとても重要です。
咬み合わせが高くても低くても食べにくいのです。
皆さんそれぞれその方の骨格に合った咬み合わせがあります。
歯がある方は歯が咬んで入れば、咬み合わせの位置はすぐにわかります。
しかし、歯のなくなった総義歯の方は歯があった時の高さや位置はご自身では知ることができません。
歯科医師は咬み合わせをなんとなくで決めてはいないのです。
しっかりとその方に合った咬み合わせの位置を医学に基づいて決定しています。
ここでしっかりと位置を決めておくことが重要です。
3、続いて入れ歯の試し入れを行います。
そんなに工程があるの?とそろそろうんざり思っている方もいるかも知れません。
そうなんです。結構工程が長いのです。
1本の歯の型取りなら、型を取って次の回にはもう被せ物が出来上がっているのに、入れ歯だといくつもの工程を経てやっと手にすることができるのです。
この試し入れ『試適』は、入れ歯をこのまま完成させて本当にいいのかの確認を行う作業です。
仮の状態で確認し、入れ歯の大きさ、形、高さ、歯並び、周りの組織との調和、機能性を確かめた上で完成させます。
この時点で問題があれば修正がききます。
『合う入れ歯』を作るため、これも必要な工程なのです。
4、入れ歯の完成後の調整
やっと出来上がった入れ歯、すぐに使い始めてなんでも食べられる!というわけにはいきません。
なぜなら入れ歯は道具です。
その道具を使いこなさなければならないからです。
よく、入れ歯(義歯)は義足に例えられます。
義足をはめた瞬間に長距離を走り出す人はいません。
どんなに優れた道具でもそれを使いこなせないと意味がないのです。
そのためには、慣れも必要です。
大体多くの方で3週間ほど慣れるのに必要だと言われています。
そして、その間に道具である総義歯の調整を行います。
その人が食べたり話したりを実際に行い、よりそれを快適に行うための調整です。
痛みが出た義歯でも、調整を行うことで痛みなく使うことができるのです。
『合う入れ歯』を作ったのだから痛みが出るのはおかしいのでは?と思う方がいるかも知れません。
しかし、そうではないのです。
その人によって、口の動かし方、粘膜の厚み、骨の形、噛む癖、硬いものが好きなどの食生活の状況、痛みの感じ方が違うのです。
その部分は実際に使いながら、慣れながら、調整していかなければならないのです。
いかがでしたでしょうか?入れ歯について少しご理解いただけたら幸いです。
もし、入れ歯でお困りのことがあればぜひご相談にいらっしゃてください。
荒岡デンタルクリニック 熊谷
荒岡 千尋